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デヴィッド・ヘミングスの ハーレクィン
Harlequin



オーストラリア
1980年

監督:Simon Wincer

キャスト:
Marián Salgado
Robert Powell
David Hemmings
Carmen Duncan
Broderick Crawford
Mark Spain
Alyson Best

<物語>

 豪州の上院議員ニック(デヴィッド・ヘミングス)は妻と息子を察し、厳重なセキュリティを完備した大邸宅に住んでいる。しかし、ニックは政界の権力闘争にあけくれるばかりか、美人秘書との関係を持っていた。そして、それを知る妻サンドラ(カルメン・ダンカン)は白血病に冒され余命幾ばくも無い息子の介護に付きっきりで、ストレスもピーク状態であった。
 そんなニック一家に何処からともなく出現した謎の神霊治療師グレゴリー・ウルフ(ロバート・パウエル)。彼は息子の白血病を完治させてしまう。それからというものニック一家はウルフを受け入れ、次第に彼のスピリッチュアリズムに惹かれていく。やがて、ニックはウルフとの関係から権力の邪悪な本性に気づき始め、サンドラはウルフに恋心を抱くようになってしまう。今やウルフは完全にニック一家を自分の手中に収めてしまったのである。
 一方、ニックを総督に担ぎあげようと画策する豪州政府のドク(ブローデリック・クローウォード)は前総督の死因の真相を知るウルフの存在が疎ましくて仕方が無い。遂にドクはウルフ殺害を画策し始める。
 ウルフの目的は何なのか?そして、ウルフの運命はいかに・・・。


<解説>

 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」(1966年)で脚光を浴び、その後「バーバレラ」(1967年)や「サスペリア2」(1975年)等に出演し、その手では今もなお根強い支持者を持つ故
デヴィッド・ヘミングスDavid Hemmings(2003年、心臓発作により死去)。
 そんな彼は70年代末から80年代初頭においてオーストラリア映画製作に深く関与していた。折りしも当時のオーストラリア映画市場では自国製のホラーやサスペンス作品が注目され始めていた時期であり、これらの作品の国際市場参入を狙っていた。そして、特筆すべきはこの時期のオージー・ビザールの主要作品である
「吸血の館」(Thirst 1979年)や本作「ハーレクィン」(Harlequin 1980年)にヘミングスが出演していることに加え、昨今国内DVD化となった「墜落大空港」(The Survivor 1981年)に至っては彼が監督メガホンを取っているという事だ。しかも「墜落大空港」の主演は本作「ハーレクィン」でも主演をはったロバート・パウエルであった。本作がヘミングスにビザール作品製作の契機を与えたに違いない。
 本作「ハーレクィン」の監督はオーストラリアの大御所サイモン・ウィンサーで、最近は「クロコダイル・ダンディー in LA」(2001年)が好評だ。そして、彼の初期作品である本作はパリ国際ファンタスティック映画祭に出品され、3部門受賞に輝いている。
 本作のプロットや演出は幾分英国ナイズされたインテリジェンスを感じるが、何となくアボリジニの精神世界(アニミズム)に通ずるモチーフも散見できるし、豪州らしい雄大且つ爽やかな自然美も相まって独特のオージー・テイストを満喫できる良質のサスペンスである。
 更に聖職者めいた呪術師が政界へ影響を与えていき、危惧を抱いた権力者が呪術師を排斥していく様は史実の人である
ロシアの怪僧ラス・プーチンの伝説に驚くほど似ている。しかも、ラス・プーチンもまた本作のウルフの様になかなか抹殺することができなかったのである。
 また、本作のテイストは日本でも人気の高いオージー・サスペンス作品「ピクニック at ハンギングロック」(1975年)等にも通ずるものがあり、豪州らしいアトモスフィックなテイストと言えるものである。かくしてオージー・ビーフを侮ることなかれ。
 なお、本作はバブル期にVHSソフト化されているので、中古ビデオ屋で見かけたら是非購入して欲しい。

2005.07.16 by Lina Romay???