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蝋人形は生きていた(TV)/ナイトメアーワックス(V)


原題:Nightmare in Wax, Crimes in the Wax Museum
製作会社:Crown International

製作年度:1969年
監督:Bud Townsend
プロデュース:Martin B. Cohen, Herbert Sussan, Rex Carlton(as executive producer)
音楽:Igo Kantor
キャスト:Cameron Mitchell, Anne Helm, Berry Kroeger, Scott Brady, Victoria Carroll, Phillip Baird, John 'Bud' Cardos, Hollis Morrison, Virgil Frye

<ストーリー>

 ハリウッドの映画会社パラゴンの専属俳優達が次々と行方不明となる事件が勃発するが、警察は犯人を見つけることができない。姿を消した俳優達に共通しているのは、パラゴンの花形女優マリー・モーガン(アン・ヘルム)の元恋人だったということだけだ。
 一方、パラゴンの元メイクアップ・アーチストであり、マリーの元恋人だったヴィンセント(キャメロン・ミッチェル)は、姿を消した俳優達の蝋人形を自分のミュージアムに飾って大盛況となっていた。しかし、その蝋人形は人形ではなく、実は仮死状態となった生身の人間そのものなのである。過去において、パラゴンの社長マックス(ベリー・クルーガー)の嫉妬により片目を失い、見るも無残な顔にされてしまったヴィンセントは、パラゴン社へ復讐を果たすべく、関係者を特殊な薬で蝋人形化していたのである。ヴィンセントは復讐の仕上げとして、社長のマックスとマリーを蝋人形にしてしまおうと画策する。

<解 説>

 監督バッド・タウンゼントは俳優そしてTV番組製作を経て、本作で劇場映画デビューを飾った。その後、緩い猟奇駄作『デビルズ・トラップ/密室ホテル女子学生の恐怖(TV)』Terror House(1972年)やアダルト向けミュージカルコメディ『エッチの国のアリス(V)』Alice in Wonderland(1976年)と続き、その手のマニアを喜ばした。そして、スポ魂コメディ『美人コーチのお色気大逆転(V)』Coach(1978年)で新境地を見出し、続いて『ビーチ・ガールズ(TV/V)』The Beach Girls(1982年)をリリースするも、その後は振るわず今日に至る。

 本作はホラー名古典『肉の蝋人形』Mystery of the Wax Museum(1933年)の数あるリメイクの一つであるが、60年代末期の作品ということで、幾分サイケっぽい演出と主演キャメロン・ミッチェルのサイコな演技を基調にした凡作である。そして、本作の製作クルーにはジョン・バッド・カルドスを筆頭にアル・アダムソン人脈が多く関与している。そうなると、本作の出来栄えは大方予想が付くというものだろう。
本作におけるミッチェル演じる主人公の名は、オリジナルの『肉の蝋人形』に出演していた男優アレン・ヴィンセントAllen Vincentから流用しているのは明白である。更に、蝋が煮え立つ大釜に落下する演出もお約束の定番だ。それでも、本作は人間を蝋人形にするという定番の設定だけはなぞっていない。主演のミッチェル曰く、
「そもそもオリジナルの脚本では人間の生皮を剥ぐという病的な設定だったから、本作はユーモアのセンスを持って見るべきだね。生皮を剥ぐなんて、単に血生臭い作品になってしまうじゃないか。オリジナルの脚本はそれほど嫌悪感に満ちていたのさ。」

 結局、本作は生皮を剥ぐという猟奇的な演出を採択せず、人間を一種の仮死というか硬直状態にしたままミュージアムに陳列してしまうという少々間抜けな設定に落ち着いた。当たり前ながら、この蝋人形はどう見ても人間そのもので、おまけに雷が鳴り始めると電気に反応して微かに動きだしてしまう。それは馬鹿げていて面白いが、やはり当初の猟奇的な演出を実施していたら、かなりインパクトのある作品になっていただろう。挙句の果てに、物語の全ては主人公ヴィンセントの悪夢(妄想)だったという、これまたB級作品にありがちな安直なオチは余計だった。これぞ正に原題である‘蝋人形館の悪夢’といったところか。

 しかし、特筆すべきは煩悶する主人公を印象的に演じたキャメロン・ミッチェルの病的な演技である。人形化された女性を時に慈しみ、時に髪の毛を引っ掴み罵倒する狂気の様はネクロフィリア(死体性愛)を連想せずにはいられない。本作には、後年『The Toolbox Murders』(1978年)で開花するミッチェルの狂気性が伏線として織り込まれているのだ。本作の魅力はキャメロン・ミッチェルのサイコ演技に尽きると言える。
 なお、ガレージ・ロックグループT-Bonesがナイトパブ場面でゲスト出演し、妙に爽やかなガレージナンバー『Don't Cry, Look For the Rainbow』を披露していることを追記しておこう。T-Bonesの演奏に合わせてナイスバディのお姉さんがGO−GOダンスを踊りまくるシークエンスも長めで、ドラマの中だるみを埋め合わせているのだろうか。しかし、個人的にはこうしたB級作品にありがちなラウンジシーンを見ることで、60年代末期の勘違いサイケ風俗を満喫できるわけで、マストアイテム的な演出なのである。

2007.03.04 by Lina Romay????